山の話

【鳥海山】はじめての登山〜無知とバッシュと綿100%〜 その② 〈過去山行〉

前回、無知の塊で初めての登山に挑んだsawaです。初めての舞台は……東北の出羽富士、鳥海山。

御浜小屋での休憩で体はすっかり冷え切ってしまいました。山の上はこんなに寒いんだ……と、当たり前すぎることをかみしめるように思ったのを今でも覚えています。

10分ほど休憩したのち、御浜小屋を出発。稜線を歩いて山頂方面へ向かうと、やがて扇子森と呼ばれる絶景ポイントに。

緩やかでだだっ広い稜線歩きはとても気持ちよく、山頂の勇姿を見ながら歩くことができる本当に素晴らしいところでした。ここからのアングルの写真、雑誌とかネットでけっこう見る気がする。

そして、このときはじめて、自分が雲より高いところにいることに気づきました。

自分の足で雲の上にやってきた!

めっちゃ感動しました。生身の自分が雲の上にいる、ということに。そして、そこに自分の足でやってきた、ということに。

感動と一緒にでっかい驚きと「え、ほんとに?」みたいなアンビリーバボーが足元からじわーっと込み上げてきたような、そんな感じ。

今となっては、雲の上にいる自分に慣れてしまった自分がいます。今日のお山もすばらしかったな、とか、これからどんなまだ見ぬ景色がまってるんだろうな、とか、毎回心は震えてるんだけど、あの時の衝撃に似た感動は本当に忘れられない。

だって、雲の上にいるんだよ。自分の足で!

もう、なんだってできそうな気持ちになりました。さっきまで寒さで弱くなってた自分なんて知らん!力が込み上げてきて、あぁ、自分はまだまだやれるんだなあ……と心が奮い立った……!

この思い、数分後にこっぱみじんになったけどね。

新たな気づき。足元が……

楽しい稜線歩きをへて千蛇谷(せんじゃだに)の分岐に到着。我々は外輪コースを選択しました。このコースは先ほどとは違い岩場もでてきて、足の疲労がどんどん蓄積されていきます。

ここで私は二つ目の失敗に気づきます。

体育館ではいい音だしてブレーキかけてくれるバッシュが、山ではめっちゃ滑る。

岩場はまだいいんだけど、土や小石の道でまぁ〜滑る滑る。

滑らないようにと足に力を入れて踏ん張りつつ登らなくてはならず、無駄な体力をどんどん消費していきます。もうバテバテのグダグダ。外輪コース〜七高山〜御室小屋〜新山というルートで登頂したんだけれど、あまりの疲労から記憶がとぎれとぎれであまり覚えてない。笑

でも唯一、新山に登るときの岩場はものすごく楽しかったのは覚えてる。それまでの疲労がぶっとんでニヤニヤしながら登ったっけな。あと、新山山頂から見た景色も。ただただ青かったのを覚えてます。

昔から高いところが好きなもんで。きっとバカなんでしょう。だから少し考えればわかるミスを犯すんでしょう。

登山にバッシュ履いてくるとかね。

下りは千蛇谷を経由して象潟口コースで下山。千蛇谷は万年雪もある深い谷で、夏なのに雪の上を歩ける面白いポイント。初めての雪渓歩きにテンション上がるはずなんだが……

ぜっんぜん覚えてない。もうバテバテのグダグダだもん。

しかも、グダグダ通り越してイライラしはじめ、かと思えば辛くて泣きたくなり、このまま動けなくなったら私死ぬのかな、てか、死ぬよな、こんなところにおいて行かれたらまじで怖い……てか、めっちゃガスってきたし、どうしよどうしよ、前見えない、みんなはだいぶ先を歩いてる、なんで山になんかきたんだろう、あーもうほんとに最悪、二度と登るかバカヤローーーーーー!!!!!!!!!!

これが私の初登山です。

それでも山に登る理由

二度と登るもんかと心に強く叫んだのに、翌年も山に登り、その次の年も登り、年々回数も増えていきました。

今では基本ソロ登山で、北アルプスにも手を出し始めた始末。

なぜ、山に登るのか。

この答えは今もまだ出ていません。

ただ、答えに繋がりそうな「思い当たるふし」ってやつが1つあって、それは、ただひたすら前に歩き続けれるから、ってこと。

なんのこっちゃ、ってなりますねぇ。

初めての登山で長時間歩いた鳥海山。極度の疲労から意識が朦朧としてた下山中。この時、一歩前に足を出すたびに「よし、進んでる」「前に向かってる」「ちゃんと歩いてる」って思いながら必死で足を前に出し続けていました。

きっと、これが良かったんだと思うんです。ただ歩いてるだけなのに、”自分はきちんと前に向かって歩いてる”って実感できたから。

歩いたコースとかその都度かわっていく景色とかはよく覚えてないのに、登山道の、しかも下り後半で一番きつくて足痛くて記憶が曖昧なときの”今私、前に向かって歩いてる”ってのがものすごく印象に残っていて、その時の石段の形や、勾配や、土の色なんかはよく覚えてます。

普段生活している中で、歩くって行為に意識なんてむかない。だって、歩いて当たり前だもん人間。でも、だからこそ、自分がしっかり前に向かって歩いているのか不安になったりわからなくなったりしてませんか?自分これでいいのかな……なんて心がブレること、ありませんか?

山に行けばわかるんです。自分は前に向かってあるいてるって。大丈夫だって。

歩く私。一歩一歩。確実に前に。これを知ってしまったから山に向かうのかもしれないなぁと思ったりする、というわけです。

まぁ、散々な初登山にかわりはないけど。事前予習大事!マジで!

今では鳥海山によく登りに行っていて、整備されててすごく歩きやすい山だと思っています。めっちゃいい山。景色最高だし、たくさんの魅力がつまってて何回登っても飽きない!

なので、これからもガンガン登って、前に進んでる自分を毎回確認したいと思います。

そして「もう山になんてこない!」と悪態ついている人を山で見かけたら、「それホント?」とニヤニヤしながら横をスルーしたいと思います。